fpsとは?
fpsとは『frames per second』の略で、1秒間に何フレーム表示されるか?を表す単位です。フレームというのは、パラパラ漫画のページ数だと思ってください。60fpsであれば1秒で60枚の画像が表示されます。
この数字が高ければ1秒間に表示される画像の枚数が多く、より滑らかに動いて見えるようになります。
このfpsの違いを身近な方法で実感するには、スマホカメラを使うのが一番です。カメラを動画撮影モードにして、fpsの設定を変えて画面を見てみましょう。30fpsと60fpsの見え方がまったく違うことを実感できます。
fpsは高い方が良いの?
このfpsを『フレームレート』と言います。そして、動きの激しいゲームでは、高いフレームレートが実装されています。今のスマホゲームでは60fpsが一般的ですが、中には120fps、パソコンゲームでは240fpsというタイトルもあります。1フレームの差が大きな違いを生む競技ゲームのシーンでは高フレームレートが必須となるためです。
しかしその一方で、動画編集で使用されるfpsは『30fps』『29.97fps』が一般的です。Aeで動画を編集する際にもこのフレームレート使う事が多いでしょう。
さらに、映画やアニメに至ってはそれよりも少ない24fpsです。『24fps?ゲームだと30fpsでもカクカクして見えるのに、どうして映画やアニメは低fpsでも違和感がないのか?』その疑問に答えることが、この記事の本題です。
なぜゲームは30fpsでもカクカクして見えるのに、映画やアニメでは24fpsでも自然な動きに見えるのか?
これにはいくつかの理由があります。
1 モーションブラーがかかる
60fpsとは、『1秒間に60枚の静止画が表示される』ということは、カメラの撮影時に『1秒間に60枚の静止画を撮る』ということです。
これが120fpsなら120枚、24fpsなら24枚。つまり、カメラのシャッターが1秒を何分割して開閉するかということでもあります。
そして、1秒を120分割する場合と24分割する場合では、1コマあたりの露光時間(シャッターが開いている時間)が異なります。
この露光時間が長ければ長いほど、その1コマの中で被写体が動く幅が大きくなり、これが『ブレ』として映像に現れます。
この『ブレ』を『モーションブラー』といい、このブレがある事により人はその映像を自然に感じるようになるのです。

日常でも体感するモーションブラーの例
速い動きであればあるほどそのブレも大きくなります。上の画像ように、大きく動いてブレた映像に対して、私達の脳は『これは速い動きの映像だ』と認識するのです。
これを実感する身近な方法は、最初に説明したように、スマホのカメラで動画撮影モードにして30fpsと60fpsでスマホを横に振ってみましょう。
60fpsだと滑らかすぎて、左から右に急に振ると、酔いを感じる方もいると思います。
一方で、ゲームなどのデジタル世界では『完全に止まっている静止画を連続して表示しているだけ』なので、それぞれの画像間でブレが発生せず、これが『低フレームレート環境での違和感=カクカクして見える」を生む理由です。
この違和感を解消するために、プロ向けの動画編集ソフト(After Effects)では『モーションブラー』という機能があります。人工的にブレを追加する事で、より自然さを演出できるのです。
①の部分で、ブラーをかけたいレイヤーにモーションブラーを有効化
②の部分で、コンポジション全体にモーションブラー効果を適用する
(これがオフだと、①にチェックしても何も起きない)
このように、簡単にモーションブラーを演出できます。
2 中割
一方アニメでは、1枚の絵を複数のフレームに渡って表示する(使いまわす)ため、1秒間に8枚や12枚が一般的です。
しかしそれでも自然に見えるのは『中割』という技術です。中割では、要所要所に原画の間を補完する『残像』のカットを足していく事でその動きに自然さを生み出しています。
こちらがその中割作成風景の参考動画です。デジタルが主流となっている環境ではありますが、こうして手描きでの作業を見ると圧倒されてしまいますね。
引用元:京アニチャンネル「アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』制作風景 第2弾「動画(中割り)」
『中割りがあることで、アニメーション全体として自然に見える。』を意図して作画しているのです。
3 慣れ
なんだそれ?と思うかもしれませんが、これが非常に重要な要素でもあります。
私達の脳は24fpsの映像に対して『映画っぽい』と感じるようになっています。逆に高フレームレートになると現実感がありすぎて、魅惑的な映画への没入感が削がれてしまうのです。『映画らしさ』において、24fpsというのは、先人たちが作り上げてきた大切な『文化』と言えます。
アニメにおいても同様で、私達の脳はアニメのコマ落ちに慣れているので、そこに不自然さを感じにくいようになっているのです。
まとめ
『なぜゲームは30fpsだとカクカクして見えるのに、映画やアニメでは24fpsでも自然な動きに見えるのか?』それは…
・モーションブラーによるブレの発生により動きが自然に見える
・中割などの技術によって『より自然に見えるように』という工夫がされている
・それを長く見続けているので慣れによって自然に見える
自然に見える映像にも、様々な工夫が施されているわけですね。
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