YouTubeやSNS用に動画を撮り始めた初心者の方で、「なぜか自分の映像が素人っぽい」と感じたことはありませんか?
その原因の一つが 被写界深度 です。被写界深度とは「ピントが合っているように見える範囲」のことです。背景をぼかして主役を際立たせるか、全体をくっきり見せるかを決める大切な要素です。
背景がきれいにぼけた映像は、視聴者の目線を自然に主役へ導き、映像にメリハリを与えます。
これこそが「動画がプロっぽく見える」大きな理由です。
被写界深度とは?初心者でもわかる基本
被写界深度が「浅い」と背景が大きくぼけ、主役が強調されます。逆に「深い」と背景までくっきり写り、風景や全体を伝えたいときに適しています。
ここで実際の写真を2枚見比べてみましょう。
写真A(ポートレート・背景ボケあり)
人物の後ろにはオフィスの机や他の人物などが映り込んでいますが、背景が柔らかくぼけているため、視線は自然と主役である人物に集まります。“ピントを浅く”し、主題の浮き上がらせることで、余計な情報が整理され、映像全体がすっきりと“プロっぽい印象”になります。
動画撮影では、インタビュー動画や商品紹介動画で効果的です。見せたい人物や物だけを際立たせ、背景の雑多さを気にせず撮影できます。
写真B(風景・ボケなし)
一方で、風景を撮影したこの写真では、手前から奥までピントが合っています。手前の花畑や山など、場面全体の情報をしっかり見せたい場合には「深い被写界深度」が効果的。背景までくっきりしていることで、その場の「空気感や臨場感」が伝わります。
動画撮影では、Vlogや街歩き、イベント撮影などに向いています。観ている人に「その場にいる感覚」を届けたいときにおすすめです。
この2枚を比べると、
背景をぼかす=主役を際立たせる
全体をくっきり=状況を伝える
という役割の違いが一目でわかります。つまり、何を見せたいのかによって被写界深度を変えることが、映像づくりの第一歩なのです。
被写界深度を変える3つのポイント
1.絞り(F値)で背景をぼかす
F値を小さくすると(例:F2.8)、被写界深度が浅くなり背景が大きくぼけます。逆にF値を大きくすると(例:F11)、被写界深度が深くなり背景までくっきり写ります。
2.被写体との距離を調整する
被写体に近づくほど被写界深度は浅くなり、背景がぼけやすくなります。逆に距離をとると全体にピントが合いやすくなります。
3.焦点距離と被写界深度の関係
望遠レンズ(焦点距離が長いレンズ)は被写界深度が浅く、背景をぼかしやすい特徴があります。広角レンズでは背景がくっきり写りやすいので、場面に応じてレンズを選ぶのも大事なポイントです。
👉 詳しくは「[カメラ]レンズの焦点距離(mm)って何?初心者向けにわかりやすく解説!」をご覧ください。
シーン別おすすめの被写界深度の使い方
参考までにシーン別のおすすめを紹介します。
- インタビュー動画:浅い被写界深度(背景ぼかし)で人物を引き立てる
- 料理動画:料理にピント、キッチンはぼかして見栄えを良く
- 旅行Vlog:被写界深度を深くして背景をくっきり写すと臨場感アップ
初心者でもできる!被写界深度の練習方法
動画撮影でも、F値(絞り)を変えることで映像の印象を大きく変えることができます。背景をぼかして被写体を強調したり、全体をくっきり見せたりするのがその例です。
絞り優先モードで練習
動画撮影用の、絞り優先モードを使ってみましょう。
F2.8(開放絞り):背景が大きくぼけ、被写体が際立つ
F11(絞り込む):被写体から背景まで広くピントが合う
同じシーンでF値を変えて撮影するだけでも、被写界深度の違いを直感的に確認できます。
まずはカメラを手に取り、実際にF値を変えて撮影してみましょう。
被写界深度の違いを体感することで、映像表現の幅がぐっと広がります。
📷レンズの焦点距離を学びたい方はこちらの記事がお勧めです
レンズの焦点距離(mm)って何?初心者向けにわかりやすく解説!
まとめ:被写界深度で動画をプロっぽく見せよう
被写界深度をコントロールするだけで、動画は格段に「プロっぽく」見えるようになります。
- F値で調整する
- 被写体との距離を変える
- 焦点距離を活用する
この3つを意識すれば、初心者でも映像のクオリティが大きく変わります。
さらに一歩進めたい方は、ぜひ「焦点距離の記事」も参考にしてみてください。カメラの基本を理解することで、動画撮影の表現力がぐっと広がりますよ。