はじめに|「プロマネ作成」は編集工程の最終責任

クライアントへの納品・保管用に再構築した整理済みプロジェクト一式を“プロマネ”と呼びます。納品物の完成は、動画の書き出しだけで完了とはならないことが多いです。クライアントにとって再編集可能な状態で納品する。そして自分自身が数か月後に確実に再現できる状態を残す。ここまで行ってプロジェクトは完了となります。
Adobe After Effectsの「ファイル収集」と、Adobe Premiereの「プロジェクトマネージャー」は、そのプロマネを生成するための機能です。本記事では、両者の目的の違いと、納品・バックアップを前提とした実務的な手順整理を解説いたします。
After Effects|ファイル収集の目的
After Effectsの「ファイル収集」は、プロジェクトで参照している「全素材を一括で複製し、相対パスを再構築するための機能」です。目的は大きく二つあります。
②バックアップ目的:外部SSDやクラウドへアーカイブする際、リンク切れのない状態で保存できることが重要です。AEは参照パスの依存度が強いため、収集を行わずにコピーするのはリスクの高い運用です。
After Effects|ファイル収集の手順
基本動線は「ファイル > 依存関係 > ファイルを収集」
📝ここでの判断ポイントは以下です。
・未使用フッテージの除外可否
・フォントの扱い(別管理)
特に実務では「未使用素材の削除」を事前に行うかどうかで容量が大きく変わります。納品目的なら軽量化優先、アーカイブ目的なら再利用を目的とした完全保存が基本方針です。最終的に生成されるフォルダ構造が、そのまま“再現可能な設計図”になります。利用目的を意識して命名規則と階層を整えておくことが重要です。
Premiere|プロジェクトマネージャーの目的
Premiereの“プロジェクトマネージャー”は、タイムライン基準で素材を再構築する機能です。AEとの思想的な違いは「使用尺ベース」である点です。
②バックアップ目的:全シーケンスを選択することで安全性を担保します。ドキュメンタリーや長尺案件では、この判断がストレージコストに直結します。
Premiere|プロジェクトマネージャーの手順
対象シーケンスを選択し、「ファイル > プロジェクトマネージャー > 対象シーケンスのチェック > 保存先パスの指定 >OK 」。
📝主な設定項目は以下です。
・新規プロジェクトの作成
・フォントの扱い(別管理)
書き出し先フォルダには、新規プロジェクトファイルと再リンク済み素材が生成されます。この時点で一度開き直し、リンク確認を行うのが実務的には必須工程です。その後は“ZIPファイル”に圧縮してクライアントに提出すればOKです。
AEとPrの違いを整理する
After Effectsは「参照素材の完全複製」/Premiereは「タイムライン基準の再構築」という意図があります。この違いを理解して納品物の設計を行いましょう。
モーション主体案件ならAE主導、編集主体案件ならPremiere主導で設計する。両方を併用する案件では、Pr側で整理後にAEで収集を行う順序が安定します。
まとめ|納品物は“再現性”で評価される
プロマネ作成は単なるデータ整理ではなく「この案件を他者が再利用できる状態になっているか?」という設計が大切です。「リンク切れゼロ、不要素材ゼロ、命名規則統一。」この三点が担保されることで“適切な納品物”として評価されます。プロジェクト管理は編集スキルの一部。最後の一手を丁寧に行うことが、継続案件の信頼につながります。



