1. はじめに─「動画」と「映像」の違いとは?

おはようございます。本日は「動画」と「映像」の違いについて解説します。
最初に皆さんに質問です。見出し画像の「電車の時刻を表示する電光掲示板」は「映像でしょうか…?」「動画でしょうか…?」
日常会話では、あまり区別されずに使われることも多いこの2つの言葉ですが、実はそれぞれ指している「概念」が異なります。クリエイターとして活動していくためにも、この違いを一度きちんと言語化しておくと、仕事にも役立ちます。
2. 「映像」とは何か?─光と色でつくられた視覚情報の総称
まず土台として、「映像」から整理しましょう。
映像とは、光や色の情報によって記録・表現される視覚的な情報の総称です。具体的には…
🖥️ ディスプレイに表示されるもの
📽️ プロジェクターで投影されるもの
…などが映像です。古くはブラウン管テレビ、今では液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどが、RGB(光の三原色)を利用してさまざまな色を表現しています。これらは代表的な「映像」機器です。また、白黒映像は色情報こそありませんが「光の情報」を持っているので「映像」です。
そして、テレビ業界ではこの「映像」が「音声や楽曲」との区別として長年使用されてきました。
3. Web業界が再定義した「動画」という言葉
ここからが本題です。「動画」という言葉は、実はテレビ・映画業界ではあまり使わていませんでした。ですが2000年以降、Web業界の発展とともに広く定着しました。
3-1. かつて主役だったのは「映像」

およそ30年ほど前までは、映像作品といった呼び方が一般的でした。テレビや映画で観るものを「動画」と呼ぶことはほとんどありませんでした。
3-2. Webメディアの登場で「動画」が必要になった

その後、インターネットが普及し、通信速度が向上することで、Web上でも静止画だけでなく「動きのあるコンテンツ」が扱えるようになりました。Webページの中には、
🎬 動きのあるコンテンツ(=動画)
が混在するようになり、これらを区別して扱う必要が生まれました。ここで、Web業界が「動きのあるコンテンツ」に対して積極的に使い始めたのが「動画」です。
とくに、MP4などの動画圧縮ファイルがブラウザ上で再生できるようになってから、
🎬 「動画」コンテンツ(MP4 / WebM など)*1
という区別が明確になりました。その流れで、私たちがインターネットを通じて視聴するYouTubeのコンテンツも、「YouTube映像」ではなく「YouTube動画」と呼ばれるようになった、という歴史があります。
4. Webにおける「動画」のワーク定義─16fps以上+動画ファイル
では、Webの世界では何をもって「動画」とみなすのでしょうか。
厳密な法律や規格で「◯fps以上なら動画」と決められているわけではありませんが、制作現場の感覚としては、次のように整理すると扱いやすくなります。
本記事では、Webにおける「動画」を次のように定義します。
✏️ MP4などの動画ファイル(あるいはそれに準じるストリーム)として再生されるもの
16fpsというラインは、映画やアニメーションの文脈でも「連続した動きとして知覚されやすい」目安とされるフレームレートです。Webの現場でも、これ以下になると「カクカクしたアニメーション」という印象となり「動画」と呼ぶよりは「アニメーション」「動く画像」と表現されるようになりました。
4-1. GIFアニメが「動画」と呼ばれにくい理由
実際、Web業界ではFPS10程度のアニメーションGIFを「動画」と呼ぶ慣習は定着しませんでした。
image/gif という「画像」フォーマットに分類される🖊️ 制作現場でも「アニメーションGIF」と呼ばれ、「動画ファイル」とは区別される
このように、Web業界では動画の前時代、静止画全盛の時代に、動いてはいるが、「動画」とは呼びにくい形式が生まれました。そこでWeb制作の現場では「動画」と呼ぶための条件として、
✏️ WEB上で動画ファイルの形式として再生されるものが「動画」
と整理されました。これが過去30年間の私の経験、現場感覚です。
5. 「動画」と「映像」を再定義してみる
ここまでの内容をふまえて、本記事では次のように用語を整理します。
6. 映像と動画の具体例
ここからは、映像と動画の区別として、具体例をピックアップしていきます。
6-1. 映像だけど動画ではないもの
🖥️ モニターに表示されている静止画
📱 スマホで撮影した一枚の写真
これらは光の情報として記録・表示されるので確かな「映像」ですが、時間的な変化がないので「動画」ではありません。
6-2. 動画でもあり映像でもあるもの
▶️ YouTubeに公開されているコンテンツ
🎬 After EffectsやPremiere Proで制作した作品
🎞️ セルアニメーション(一コマ一コマを撮影して動かす手法)
これらは時間軸に沿って動きがあり、かつ動画ファイルや映像信号として再生されるので、「動画」であり「映像」でもあります。
6-3. 動画の原理だけど「映像」ではないもの
パラパラ漫画は、WEBが生まれる以前のものなのでWEBの定義とは切り離す必要があります。パラパラ漫画は「静止画を連続させると動いているように見える」という、動画の原理そのもの、セルアニメの仕組みそのものです。よって「動画」と定義できますが、紙媒体であり、光の三原色で表示しているわけではないので、パラパラ漫画は「映像」ではありません。
7. 電光掲示板は「映像」だが「動画」ではない
では、冒頭で質問した「電車の時刻を表示する電光掲示板は、動画なのか?」という問いの回答です。
電光掲示板は、LEDやLCDが光ることで文字情報を表示しているので、定義上は「映像」です。一方で、本記事の定義に照らすと「動画」と呼ぶには条件が足りません。
🖊️ MP4などの動画ファイルを再生しているのではなく、その都度テキスト情報を描画しているUIである
このため本記事では、電光掲示板は「映像」ではあるが、「動画」ではないと定義できます。
8. 私が「映像制作者」と名乗る理由
ちなみにですが、私は動画編集だけでなく、写真のデジタル加工などの、動画以外の「映像制作」の仕事も請け負っています。そのため名刺の肩書きは、
🎬 メイン業務:動画エディター
としています。これは、「動画」だけでなく「写真やグラフィック」といった、より広い意味での「映像」に関わっている、というニュアンスを込める意図です。
9. まとめ─言葉の違いを理解すると説明がクリアになる
最後に、本記事での整理をもう一度まとめます。
🖥️ 「映像」:光や色の情報として記録・表示される視覚情報の総称
🎬 「動画」:Webを中心に再定義された用語であり、16fps以上のフレームレートを持つ動画ファイルとして再生される映像コンテンツ
この整理を前提にすると、
📽️ 映画は「動画」だが、WEBの歴史以前のメディアのため「映像」とされる
🚉 電光掲示板は「映像」だが「動画」ではない
このように、すっきり説明できるようになります。
クリエイターとして、企画書やプロフィール、名刺の肩書きを考えるとき、「動画」と「映像」を意識的に使い分けられると、皆さんが使う言葉に説得力が生まれます。
この機会に、「動画」と「映像」の違いを、ぜひ自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。それだけで、あなたの発信やレクチャーが一段クリアに伝わるようになります。
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*1 HTML5の標準動画形式の一つ



