動画ファイルのエンコードはなぜ必要なのか?
動画編集が終わって「これで完成!」。しかし、動画編集ファイルのままでは、SNSに投稿することはできません。
そこで、動画ファイルをアップロード、もしくはクライアントに納品するファイルを作る作業が『エンコード』です。
※一方「エンコード」は、Adobeソフト(Media Encoder等)では「レンダリング」と呼ばれます。
どちらにせよ、クライアントや放送局への納品。動画投稿をしたことがない方にとっては、聞きなじみのない用語でしょう。
本記事では、そもそも『エンコードとは何か?なぜ必要なのか?』について詳しく解説します。
エンコードの概要
『エンコード』とは、動画ファイルの映像・音声データを圧縮し、任意のファイル形式に変換する作業を指します。動画ファイルは大容量のデータになりやすいため、配信時に再生に時間がかかったり、パソコンのストレージを圧迫する原因になります。そのため、『エンコード』は動画ファイルを納品やSNSで動画投稿する上で必須です。また、再生する媒体や配信プラットフォームに合わせたファイル形式に変換することが重要です。
エンコードの方法
『エンコード』の方法は「ソフトウェアエンコード』と『ハードウェアエンコード」の2種類があります。「ソフトウェアエンコード」の処理速度はCPU性能に依存します。一方、『ハードウェアエンコード』の処理速度はGPU性能に依存します。一般的には『ハードウェアエンコード」の方が、処理速度が速いケースが多いです。
H.264とH.265
「どのような形式でエンコードしてよいかわからない?」という方へ。エンコードの形式は『コーデック(codec)』と呼ばれます。YouTubeやSNSにアップする動画では、H.264とH.265(HEVC)が広く使用されています。この2つの使い分けは、エンコードしようとしている動画ファイルの『画面解像度』で決まります。
・H.264は、FHD[1920×1080pixel]までがお勧め
・H.265(HEVC)はFHD4以上。4K[3840×2160pixel]にもお勧め
*また、拡張子はどちらも『.mp4』です。
動画エンコードの圧縮パターン
圧縮には「非可逆圧縮」と「可逆圧縮」の2パターンがあります。動画のエンコードでは主に「非可逆圧縮」が使われます。
「非可逆圧縮」は、圧縮率が高く、ファイルサイズが小さくできます。ですが、エンコードする前の品質には戻せません。
一方「可逆圧縮」は元のデータに戻せます。ですが、圧縮率が低く、ファイルサイズが大きくなる傾向があります。
また、「非可逆圧縮」と「可逆圧縮」の中間のような形式も存在します。具体的には以下の2つの形式です。
・Apple ProRes
・Avid DNxHD / DNxHR
この2つはどちらも「非可逆圧縮」ですが、非常に劣化の少なく高品質です。品質が高いのに、編集ソフトでの再編集の負荷も軽いのが特徴です。『中間ファイル』として、放送局や映画の制作現場でも重宝されています。
エンコードの時間
エンコードは、動画ファイルの尺、形式、画面解像度、フレームレートなどで、書き出し時間が変わります。
また、CPUとGPUの性能差でも大きくエンコード時間が変わります。あまりにもエンコードに時間の掛かる方は、パソコンのスペックを見直す時期かもしれません。
そして、近年ではCPU以上にGPUの性能が重視されます。これは、「ソフトウェアエンコード」よりも「ハードウェアエンコード」の方が、エンコード時間を短縮できるケースが多いためです。これはWindowsパソコンだけでなく、MacのAppleシリコンも同様です。
まとめ
・ エンコードとは、再生や配信に適した形式へ変換すること
・ 「ソフトウェアエンコード」と「ハードウェアエンコード」の2種類の方法がある
・ エンコード形式のお勧めコーデック(Codec)。中間ファイルは「Apple ProRes」と「DNxHD / DNxHR」。配信では『H.264とH.265(HEVC)』が適している