RGBの数値を見ても、何色かピンとこない…

After Effectsで色を調整するとき、こんな経験はありませんか?
・「もう少しだけ鮮やかに」したいのに、どの数値をいじればいいか分からない
・少し明るくしたいだけなのに、スライダーをいくつも動かすことになる
その原因は、色の「表し方」にあります。色には「HSL」と「RGB」という2つの表し方があって、それぞれ得意なことが違います。
この記事では、HSLとは何か、RGBと何が違うのかを解説し、After Effectsの「カラーバランス」と「カラーバランス(HLS)」を使って、その違いを比べてみます。
HSLとは?
HSLは、色を人が感じる3つの要素で表す方法です。
H:色相(Hue)=どんな色み?
赤・黄・緑・青といった色の種類です。色を丸く並べた「色相環」の角度(0〜360°)で表します。0°が赤、120°が緑、240°が青です。
S:彩度(Saturation)=どれくらい鮮やか?
色の鮮やかさです。0%にするとグレーになり、上げるほどハッキリした色になります。
L:明度(Lightness)=どれくらい明るい?
色の明るさです。0%で黒、100%で白になり、50%のときに一番その色らしい色になります。
似た言葉に「ルミナンス(輝度)」がありますが、実は別のものです。違いはこちらの記事で解説しています。
https://studio-us.org/community-blog/blog/after-effects-luminance-lightness/
「HLS」も、色相(Hue)・明度(Lightness)・彩度(Saturation)で色を表す方法ですが、アルファベットの並び順が違うだけで、中身は同じです。After Effectsには「カラーバランス(HLS)」というエフェクトがありますので、この記事の後半で実際に使いますが、記事の説明は「HSL」で統一させていただきます。
HSLとRGBの違いとは?
まずはおさらい!RGBとは?
RGBは赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の「光の三原色」で色を表す方法です。3つの光の強さを、それぞれ0〜255の数値(8bitの場合)で決めます。
パソコンの画面もカメラのセンサーも、この3色の光で色を作っています。つまり、RGBは映像データの「正体」です。
RGBの基本は、こちらの記事でくわしく解説しています。
なぜRGBが動画編集の基本色なのか?光の三原色をやさしく解説
RGBは「機械の言葉」|HSLは「人間の言葉」
では、なぜ色の表し方が2つもあるのでしょうか?
画面やカメラは、赤・緑・青の光の強さで色を扱います。機械にとっては、RGBが一番自然な言葉です。
一方、人は色を「R:230 G:128 B:25」とは感じません。「オレンジっぽい」「鮮やか」「ちょっと暗い」と感じます。この感じ方に合わせて、RGBを言い換えたものがHSLです。
ここで大事なポイントがあります。HSLは別のデータではなく、同じ色の「別の言い方」だということです。英語と日本語のように、同じものを違う言葉で表しているだけなので、いつでもお互いに変換できます。
撮影現場でHSLが便利な理由
たとえば、あなたがカメラマンとして、撮影中にディレクターから「映像を少し明るくしてください」と頼まれたとします。
「R・G・Bを、それぞれ均一に10%ずつ持ち上げてください。」
→ 3つのパラメーターを操作するので、時間がかかる
HSLの場合
「L(明度)を持ち上げてください。」
→ 1つのパラメーターだけでOK
され、「すぐに対応できるのはどちらでしょうか?」もちろん、時間の限られた撮影現場では、RGBそれぞれを調整するよりも、1つの操作で済むHSLを使った方が便利ですよね。カメラの色設定に「彩度」や「色あい」といった、人の感覚に近い項目が並んでいるのも同じ理由です。
After Effectsの「カラーバランス」で違いを体感しよう
After Effectsには、名前がそっくりな2つのエフェクトがあります。RGBで調整する「カラーバランス」と、HSLで調整する「カラーバランス(HLS)」です。どちらも、エフェクト&プリセットパネルで「カラーバランス」と検索すると表示されます。
「カラーバランス」はRGBで調整する
シャドウ・ミッドトーン・ハイライトのそれぞれで、赤・緑・青のバランスを調整します。スライダーは合計9つです。
ミッドトーンを明るくするだけでも、赤・緑・青の3つを同じだけ動かす必要があります。そのかわり、「シャドウだけ青っぽい」といった範囲ごとの色かぶりを直すのは得意です。
「カラーバランス(HLS)」はHSLで調整する
After Effectsでは「HLS」と表記されていますが、SとLの順番を変えただけで、どちらも同じです。カラーグレーディングの現場では「HSL」と呼ぶのが一般的なので、この記事でもHSLで説明しています。
パラメーターは色相・明度・彩度の3つだけです。
明るくしたいなら「明度」、鮮やかにしたいなら「彩度」。やりたいことに対して、操作が1つで済むのがHSLの強みです。
2つを比べてみると
カラーバランス:赤・緑・青を同じだけ動かす(3つ)
カラーバランス(HLS):「明度」を上げる(1つ)
オレンジを、もう少し鮮やかにしたい
RGBの数値で見ると:R:191 G:128 B:64 → R:230 G:128 B:25
Rを上げてBを下げる、という反対方向の計算が必要
カラーバランス(HLS):「彩度」を上げる(1つ)
同じ「カラーバランス」という名前でも、RGBで考えるか、HSLで考えるかで、操作の手間がこれだけ変わります。
まとめ:迷ったらこの基準で選ぼう
・明るさ・鮮やかさ・色みをまとめて変える → HSLで調整(カラーバランス(HLS))
・シャドウ・ハイライトなど、範囲ごとの色かぶりを直す → RGBで調整(カラーバランス)
エフェクトを選ぶ前に、「いま変えたいのは、明るさや鮮やかさ?それとも光のバランス?」と自分に聞いてみてください。それだけで、色補正の迷いがぐっと減りますよ。



