同じ「明るさ」なのに、何が違うの?

お気づきの方も多いと思いますが、普段からAfter Effectsで色をコントロールしていると、明るさを表す言葉が3つあることに気づきます。
・ブライトネス(Brightness):HSBのB
・ルミナンス(Luminance):輝度
どれも日本語では「明るさ」と訳されるので、どれも同じものだと思ってしまいます。ですが、実はこの3つ…
明るさの決め方がまったく異なります。
ということで、今回の記事では、●黄色と●青を例に、その違いを解説します。
ライトネス(明度)とは?
ライトネスは、HSLの「L」です。RGBのうち、一番大きい値と一番小さい値の平均で決まります。
純粋な青(R:0 G:0 B:255)→(255+0)÷2 → 50%
※ 0%で黒、100%で白として、50%のときに一番その色らしい色になります。
ブライトネスとは?
ブライトネスは、HSBの「B」です。RGBのうち、一番大きい値だけで決まります。
純粋な青(R:0 G:0 B:255)→ 一番大きい値は255 → 100%
※ HSBとHSLの違いとして覚えて欲しいことがあります。それは「一番その色らしい色が100%になる」のが「HSBの特徴」です。白も100%なので、色と白の違いは彩度(S)で表すことになります。
HSBは「HSV」とも呼ばれます(VはValueの頭文字)。また、日本語ではライトネスもブライトネスも「明度」と訳されることがあるので、どちらの意味なのかに注意しましょう。
ルミナンス(輝度)とは?
ルミナンスは、人の目の感じ方を考慮した明るさです。人の目は、同じ強さの光でも緑をいちばん明るく、青をいちばん暗く感じます。そこで、R・G・Bに重みを付けて計算します。
輝度(Y) = 0.2126×R + 0.7152×G + 0.0722×B(R・G・Bはリニアの値)
緑の重みは、青の約10倍です。
※厳密には、ガンマ補正前(リニア)のRGBから計算したものを「輝度(ルミナンス、Y)」、ガンマ補正後のRGBから計算したものを「ルーマ(Luma、Y’)」と呼んで区別します。この記事では、わかりやすさを優先して、どちらも「ルミナンス」と呼びます。
黄色と青で3つを比べてみよう
青:ライトネス50%/ブライトネス100%/ルミナンス 約7%
白:ライトネス100%/ブライトネス100%/ルミナンス100%
ライトネスとブライトネスでは、●黄色と●青は同じ明るさです。ところがルミナンスでは、10倍以上の差があります。白黒にすると、黄色は明るいグレーに、青はかなり暗いグレーになります。私たちが「黄色は明るい色」と感じるのは、ルミナンスが高いためです。
After Effectsではどこに出てくる?
ブライトネス:カラーダイアログ

平面やシェイプの色を選ぶカラーダイアログには、「H・S・B」の入力欄があります。このBがブライトネスです。純粋な色を作りたいときは、SとBを両方100%にします。Bが100%でも、Sが0%だと白になります。
ライトネス:カラーバランス(HLS)の「明度」

「カラーバランス(HLS)」の「明度」は、ライトネスです。黄色(#ffff00)から色相を回していくと、黄緑や水色では明るいままですが、180°付近で青になると、明度は変わらないのに一気に暗く見えます。
人の目に合わせた明るさ:描画モードの「カラー」と「輝度」

描画モードの「色相」「彩度」「カラー」「輝度」は、色を「色み・鮮やかさ・明るさ」の3つに分けて、上のレイヤーから一部だけを受け取るモードです。HSLと同じ分け方ですが、明るさの中身が違います。このときの「明るさ」は、ライトネスでもブライトネスでもなく、RGBの各値に重みを付けて計算した明るさです。人の目が緑を明るく、青を暗く感じる特性を考慮しています。
※AdobeのPDF仕様書では、この計算を R×0.3+G×0.59+B×0.11 と説明しています。Rec.709のルミナンスとは係数が異なります。また、初期設定のガンマ補正された作業空間での合成と、リニア合成では計算結果が異なります(Adobe公式ヘルプ:After Effects で描画モードとレイヤースタイルを使用する)。
・輝度:下のレイヤーの色みと鮮やかさはそのままで、上のレイヤーの明るさを受け取る(カラーの逆)
たとえば、グレーの平面の上に純粋な青と純粋な黄色を置いて、描画モードを「輝度」にしてみます。ライトネスで考えると、青も黄色も50%なので同じ明るさのグレーになりそうですが、実際は青はかなり暗いグレー、黄色は明るいグレーになります。描画モードが、人の目が感じる明るさで計算しているからです。以下の実践動画でご確認いただけます。
まとめ
・ブライトネス:RGBの最大の値。HSBのB。AEではカラーダイアログのB
・ルミナンス:人の目の感じ方を考慮した明るさ。緑が明るく、青が暗い。Rec.709ではRGBに重みを付けて計算する
・描画モードの「色相」「彩度」「カラー」「輝度」:HSLと同じように色を「色み・鮮やかさ・明るさ」に分けて合成する。ただし明るさには、ライトネスではなく、RGBに重みを付けた明るさを使う
・同じ「明るさ」でも、色によって大きく違うことがある
次回は、ライトネスを使って色を扱う「HSL」について、RGBとの違いや、After Effectsの「カラーバランス」の使い分けを解説します。



