動画の企画を考えたとき、自分では「伝わる」と思っていても、相手が同じ映像を思い浮かべるとは限りません。今回は、私の経験から学んだ、動画ディレクター初心者として気をつけたい5つのことを紹介します。
共通の例として、「若手の応募が集まらない工場から、採用を促進する動画の企画を相談された」という架空の設定で考えます。伝えたいのは、先輩に相談しながら新しい仕事に取り組める職場の魅力。企画の意図を関係者に伝え、実際の撮影に向けて準備を進めるには、どんな点に気をつければよいでしょうか。
動画ディレクターは、動画の目的や制作方針を踏まえ、演出や各担当者への指示を通じて制作全体を進める役割です。企画内容の具体化から撮影・編集まで、関係者と認識を合わせながら完成を目指します。詳しい仕事内容は、「動画・映像クリエイターってどんな人?仕事内容を詳しくご紹介!」をご覧ください。
1.完成イメージを見える形にする

言葉だけの説明では、思い浮かべる映像が人によって異なります。絵コンテや参考画像、仮動画などを添えて、完成イメージを共有しましょう。
私は、最初の企画資料に絵コンテを入れなかったため、先方と完成イメージをすり合わせるのに時間がかかってしまったことがあります。途中でChatGPTで画像を生成して絵コンテを作り、その画像をつないだ簡単な下書き動画も共有しました。そこからイメージをすり合わせ、話をまとめることができました。
2.抽象的な言葉を具体化する

この採用動画で「挑戦できる職場」というメッセージを掲げても、受け取る人によって印象は変わります。「成長できそう」と感じる人もいれば、「難しい仕事を一人で任されそう」と感じる人もいるかもしれません。
たとえば、「先輩に相談しながら新しい仕事に挑戦できる職場」を伝えたいなら、新人が先輩に相談しながら作業を進める場面を撮影案に入れます。このように、伝えたい言葉と具体的な撮影場面をセットで示すと、関係者が同じ映像をイメージしやすくなります。
3.関係者全員の動きを考える

出演者の拘束時間を短くしても、スタッフの移動や機材の再準備が増えれば、撮影全体が長引くことがあります。私の場合、出張や顧客との打ち合わせで複数人の予定を調整した経験が、撮影の段取りを考えるときにも役立ちました。撮影スケジュールを組むときは、これまでの予定調整を思い出しながら、撮影そのものにかかる時間に加え、移動・準備・待ち時間も見積もってみましょう。
4.必要な役割から人数と費用を考える

「この人数で足りるだろう」と楽観的に決めず、撮影・録音・照明・進行などの役割を洗い出します。兼任できる仕事と別の担当者が必要な仕事を分けることが、根拠のある見積もりにつながります。
動画ディレクターを始めたばかりのうちは、役割の割り振りを経験者や先輩に見てもらうと安心です。「撮影と録音を一人で担当できるか」「撮影中に出演者の案内をする人はいるか」など、当日の動きを想定して確認してみましょう。
5.AIを企画の壁打ちや、資料作成・更新の効率化に活用する

AIは、企画の壁打ちや下書き作成にも使えます。「このメッセージは、初めて見る人にも伝わるか?」と問いかければ、見直すきっかけになります。STUDIO USのような動画スクールの講師や先輩にレビューをお願いする前に、考えを整理する使い方もあります。
打ち合わせ後には、出た意見や修正点をAIで整理し、企画資料の更新案を作ることもできます。更新案が打ち合わせの内容に沿っているかを見直し、最終的にはクライアントや制作メンバーなどの関係者と確認します。
確認する相手とタイミングも決めておく
ここまでの5つのポイントは、企画が完成してから一度に見直すより、段階ごとに確かめる方が手戻りを減らせます。伝えたいメッセージは企画の方向性を決めるときに、撮影場所や出演者の条件は撮影計画を組む前に確認しましょう。
工場の採用動画なら、採用担当者に「どんな職場の魅力を伝えたいか」を聞き、現場の社員にも普段の仕事について話を聞きます。撮りたい場面が決まったら、設備の稼働予定を踏まえて、現場担当者に撮影できる時間帯を確認します。
決まっていないことは、「撮影場所は確認中」「所要時間は担当者と調整中」と資料に残します。予定が変わったら、関係者の動きや費用への影響も見直しましょう。
まとめ|企画を、伝わる形・実行できる形に
伝えたいことを具体的な場面に置き換え、絵コンテや仮動画で完成イメージを共有します。撮影に必要な人・時間・費用を整理し、誰に何を、いつ確認するかも決めておきましょう。
AIも企画の見直しや資料の更新に活用しながら、最後は関係者と認識をすり合わせます。私自身も、企画から撮影準備まで、段階ごとの確認を重ねていきたいと思います。



